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コラム家づくり時評
強度偽装問題(4)最近ワイドショーなどのコメンテーターが訳知り顔で、「建築士と同等の能力を持った人間にダブルチェックをさせればよろしい」といっているのを聞きましたが、失礼ながら笑ってしまいました。 そんなことができるなら、とっくに解決しています。 その意見は一見正しいように思えます。 しかし、皆さんは本当にそれを許容しますか? なぜなら、そのための費用は皆さんが払うのです。 平均的な戸建て住宅で考えると、構造設計料は20万円前後ですが、構造計算の仕事が増えればまずその相場が上がります。例えば30万円になるとして、それがダブルになります。結局総額では40万円くらいの負担増になります。 今はこんなことが話題になっている最中ですから、「欠陥住宅を防げるなら40万円なんて安いものだ」と思われるかもしれません。しかし、ザ・ハウスを訪れるお客様の多くは、数十万円のせめぎあいで喜ばれたりがっかりされたりしています。私たちも何とか一万円でも安く、かつ安全に建てられる方法を提案して差し上げたい、と一緒に悩む毎日です。 40万円というのは、住宅ローンの返済が3ヶ月ほど伸びてしまうことを意味します。生活実感を伴った40万円は決して安いものではないのです。 そして、コストアップの本命はここからです。 実は構造というのは計算の仕方にある程度の主観が入るものであって、同じ土地に同じ家を建てようとしても必要な強度は設計者や施工者によって見解が分かれます。丈夫に作ろうとすればキリがないもので、いくらでもオーバースペックに作ることは可能です。 震度いくつまで耐えられるものが必要なのか、そう作れば本当にその震度に耐えられるのか? それは確実には誰もわからないことで、それを想像の中でどこまでやるかという問題があります。 ダブルチェックシステムが導入されれば、チェックする側は何か言わなければ存在価値を疑われますから、最も安全なラインに基準を置いてチェックを行うことになるでしょう。チェックされる側も安全性に水を差すと魔女狩りのようなことになりかねないので、より安全なラインに傾きます。そうすると、オーバースペック競争になってしまい、工事費が数百万円単位でアップします。 もちろん、考えうる限り安全なものにすべきだと意見はあるでしょう。私の感覚で言えば、地盤対策や防火対策も含めて、1坪当たり300万円を上乗せすれば、日本で起こりうる災害ではまずつぶれないのではないかと思います。しかし、ほぼ全員の方がいつ起こるかもわからない災害対策にそこまでは負担されないと思います。 結局、安全対策はコストとトレードオフの関係にありますから、その適正な落としどころに収束できる力が働かないシステムを導入しても、またまた建て主が貧乏くじを引いて、一部の業界人が儲かることになるだけだと考えます。建て主の負担を最小限に抑えることを一方の前提にしなければ、「ただただ安全に」というのは非現実的な暴論に過ぎないのです。 このようにダブルチェック論は一見いいように聞こえても、皆さんが必要以上の負担を強いられることになるか、全く逆に業界的な馴れ合いで機能しないかのどちらかのように思えてなりません。
2005/12/26(関)
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