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コラム家づくり時評
返済期間45年?今日の新聞に、銀行やノンバンクなどが住宅ローンの商品設計を競っていると出ていました。 これは建て主にとってはとてもいいことで、住宅ローンの方がそれぞれの人生設計に柔軟に合わせてくれれば、住宅ローンの返済に合わせた人生を送らずにすむことになります。 しかし、少し気にかかったことは、ある銀行が20代も借り易いようにこれまで最長35年だった返済期間を、45年に延長した商品を発売すると出ていたことです。 これは、一見いいようなことに思えます。35年より45年の方が、一ヶ月あたりの返済額は少なくなりますから、その分を生活費やレジャーなどに振り分けられるわけです。また、収入の少ない方でも家を建てることが可能になります。 が、結論から申しますとこのしくみは理屈に合いません。なぜなら、確かに20代であれば返済期間の終わりまで寿命がもつかもしれませんが、当の住宅の寿命が45年ももたないからです。 ローンを払い終わるまで住宅がもたないということは、次の住宅を建てるなり買うなりする場合には、それまでの残債を一括して返済しなければならないということを意味します。 例えば、25歳でローンを組んで、30年後の55歳で住宅がダメになった場合、その時点でまだ1000万円単位の残債が残っているわけですが、次のローンを組むためにはまずそれを全額返済し、さらに次のローンの頭金としてやはり数百万円〜1千万円ほどの資金が必要になります。 55歳といえば今の感覚で言えばまだまだ若い範疇に入り、もう一度人生があるようなものです。人によってはまだ子供の扶養義務や教育義務を負っていることでしょう。その状況で、莫大な残債を一括返済し、さらに次の頭金を用意できなければ、家族もろとも住む場所がなくなってしまうというのは、想像するだけで悲壮です。 住宅がどの位もつかは工法や地盤、メンテナンス状況などによって大きく変わります。 工法で言えば、日本の住宅の80%を占める木造住宅が一番早くダメになります。正倉院などを見ても分かるとおり、木そのものは1000年のスパンでもたせることは可能なのですが、現代の建材や構造の木造住宅を45年間もたせるためには、定期的なメンテナンスとそのための投資が不可欠です。 しかし、日本人は欧米人と比較して、メンテナンスに熱心ではありません。この理由はいろいろあるのですが、簡単に言えば文化的なことと、住宅を資産よりも消費財として捉えがちであることが原因であり、今日明日で変わりそうにはありません。そしてメンテナンスをするにもそれはそれでお金がかかります。 結局、ローン返済の期間は、どのくらいの期間において返済できるかということだけではなく、その対象となる住宅の耐用年数も一致している必要があります。これは、企業会計におけるリースや減価償却の考え方と一緒です。 少し前までは、家を建てるというのは一生に一回のことでしたので、建ててしまえば勝ち、といった感覚がありましたが、平均寿命が延びた今日、もしかすると2度3度と家を建てなければならない前提で考えれば、人生全般にわたって住宅の資金計画をどうするかという発想が必要になります。 私事で恐縮ですが、私は「分相応」という言葉が嫌いでなりません。しかしお金というのはほとんど物理的なものであり、分相応にやる以外はありません。45年ローンは、分不相応な額の借金を誘発する恐れがあり、そのしわ寄せはその住宅の使用期間が終わった瞬間にまとめて襲い掛かってきます。 20代という刹那的な思考をしやすく、また人生全般を見渡せない時期に、将来の一点に爆弾を仕込むような商品が出来ることは、いくら自己責任の世の中だからといっても釈然としないものがあります。 2006/2/15(関)
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