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いい土地、悪い土地

俗に「いい土地」と言われている土地は、どんな土地でしょうか?
   ・駅から近い。
   ・住環境に恵まれている。
   ・広い道路に面している。
   ・間口が広い。
   ・土地の大きさが手ごろ(30〜40坪)
   ・道路との高低差がない。

では、逆に「悪い土地」とは?
   ・駅から遠い。
   ・住環境が悪い。
   ・前の道路が狭い。
   ・間口が狭く、奥行きが長い。(細長や旗竿などの変形地)
   ・土地が小さ過ぎる。(狭小地)
   ・道路との高低差がある。(傾斜地)

しかし、この考え方はあくまで一般的なものであり、何を重視して何に目をつぶるか、何が気になって何が気にならないかによって、評価は全く違ってきます。

中には景観のいい斜面を重視する方もいらっしゃいますし、電車に乗る習慣のない方は駅から遠くても何も不自由はありません。

つまり、一般的な評価が、一人ひとりの価値観に照らし合わせた評価と必ずしも一致するわけではなく、いい土地と言われているからいい土地、悪い土地と言われているから悪い土地、とは必ずしも言えないのです。

土地を選ぶ場合は、ご家族にとって何が大切で何が大切でないかを十分に検討し、それに見合った土地を購入することが大切です。

また、建物を依頼する依頼先によっても、土地の評価は全く違うものになります。

・工務店の場合

工務店の事業形態は、工務店によって大きく異なり、一概に土地に対する柔軟性を評価することができませんが、平均的な工務店を例に取って説明します。

予算と建築法規以外には、いっさい制約がないため、複雑な条件の土地でも柔軟なプランを作ることができ、形が複雑な家を建てても材料費や工賃以上にコストは上昇しません。

しかし、一般的な工務店の設計力はそれほど高くなく、特に学問的に設計を勉強したことがない職人出身の方が設計を行う場合は、設計力による現実的な制約が生じます。

例えば、超狭小地に工務店が設計すると、ただ必要な部屋を何とかその土地に詰め込んだ使い勝手の悪い狭い家になりがちですし、周りを囲まれた土地に建てれば薄暗い家になりがちです。

つまり、一般的に工務店は設計力において土地に対する柔軟性が低く、ハウスメーカーほどではないにしろ、ある程度「いい土地」が適しているといえます。

・ハウスメーカーの場合

ハウスメーカーの住宅は、あらかじめ基本的な仕様が決まっているため、規格内に収まりやすい、広い道路に面した40坪前後の整形地、つまり俗に言う「いい土地」が最も適していると言えます。

逆に間口が狭かったり、形が変形しているような土地では、規格から外れてしまう可能性が高いために、建築コストが極端に上昇してしまうことがあり、そうなるとハウスメーカーで建てる魅力は半減です。

かといって土地条件を無視して規格内に無理やり収める、例えば三角の土地の内側に収まる四角い家を建てるというようなことになれば、土地の欠点ばかりが目立つ家になってしまいます。

つまり、ハウスメーカーは、土地に対する柔軟性がコスト的にも設計的にも最も低いといえます。

・建築家の場合

予算と建築法規以外には、いっさい制約がないため、複雑な条件の土地でもその土地に適したプランを作ることができます。

例えば高低差のある土地には景観を重視した家を、周りを囲まれた土地には外壁に窓を設けず、中庭やトップライトを作って採光とプライバシーを同時に確保する、というように、土地の長所を活かし、欠点を軽減する設計が可能です。また、元々規格があるわけではないので、そのためにコストが急上昇することもありません。

建築家の設計は、土地に対する柔軟性が最も高く、安い土地でも最終的により上の住環境が得られるといえます。

以上のように、あらかじめ建物の依頼先が決まっているのであれば、依頼先に合った土地探しをすることができ、土地のコストを抑えることができます。

結局、誰もに当てはまるいい土地、悪い土地というものはなく、個々の建て主が自分のライフスタイルや建物の依頼先にあわせて土地を選び、結果として最大限に土地の魅力を引き出せたとき、それを「いい土地」ということができるのだと考えます。

Point
・住まい手にとって何が大切かによって土地の評価は異なる。
・建物の依頼先によっても、土地の良し悪しは変わる。
・価値観や建物の依頼先にあわせて土地を選び、土地の魅力を最大限に引き出すことが重要。
2005/12/17(矢野)